
人材の採用活動方法として、「SNS採用」という言葉を聞いた方もいるのではないでしょうか?
このSNS採用という採用活動方法は、近年注目が集まっている方法です。そこで、本記事ではSNS採用について、メリット・デメリットおよび採用方法の手順を中心に解説します。
これからSNS採用の導入を考えている採用担当者の方には、有用な内容のためぜひ最後までお読みください。

SNS採用とは
「SNS採用」とは、文字通りSNS(LINE・X・Instagram・Facebook・YouTubeなど)を活用して、人材を採用する方法を指します。
SNS利用者の増加や、スマートフォンの普及などにより、近年SNS採用は注目を集めており、導入する企業も増えています。
なお、SNS採用と同じような言葉として、「ソーシャルリクルーティング」がありますが、SNS採用とソーシャルリクルーティングは同じ言葉と考えて差支えないでしょう。
SNS採用が注目される背景
SNS採用が注目されている背景として、大きく以下の3点があるといわれています。
・若年層(Z世代)へのSNSの浸透
・採用競争の激化
・求職者の情報収集手段の多様化
採用のターゲットとなる層は、「Z世代」と呼ばれている層が中心です。これらの層は、子どもの頃からスマートフォンやSNSを積極的に活用しているため、SNSの利用は生活の一部と言っても過言ではありません。
また、少子高齢化がますます進むことで、特に若年層の人口が減少しており、就職活動においても学生側の売り手市場といった状態が続いています。そのため、人材確保のため企業間の採用競争が激化しています。
さらに、企業の公式サイト・就職口コミサイト・SNSなど、求職者の情報収集手段が多様化してきたという背景もあり、SNS採用に注目が集まっています。
SNS採用のメリット
SNS採用を行うことによる、企業側のメリットには、以下の5点があります。
・情報拡散力がある
・自社の魅力がダイレクトに求職者に伝わる
・低コストで採用活動ができる
・自社・求職者の双方向でのコミュニケーションが可能
・企業・求職者間のミスマッチが防ぎやすい
それぞれのメリットのポイントについて、詳しくみていきましょう。
情報拡散力がある
採用活動で人材を確保するためには、まずは自社の業務内容・強みなどを、多くの求職者に伝えていくことが大切です。
SNSはプラットフォームにもよりますが、いわゆる”バズる”ことができれば、短期間に自社の認知度が上がるというメリットがあります。
SNSによって情報発信することで、自社のことを認知していない、いわゆる「潜在層」とも気軽につながれる可能性があります。その結果、新たに自社に興味を持ってもらえるという点もメリットといえるでしょう。
自社の魅力がダイレクトに伝わる
SNSを活用することで、自社の経営方針・事業内容・職場環境や社員の声を、動画や写真でリアルタイムに投稿できます。その結果、自社の事業や職場の雰囲気をリアルに発信することにより、自社の魅力が求職者にダイレクトに伝わります。
また、SNSを活用して自社の情報を発信することで、競争の激しい市場の中で、他社とは異なる魅力をアピールでき、優秀な人材を引き寄せるチャンスも得られます。
低コストで採用活動ができる
SNSを活用することによって、低コストで採用活動ができるといった点もメリットです。SNSを活用(アカウント作成・情報投稿)するだけであれば、基本的に「無料」で実現ができます。
また、SNSに自社の広告を掲載する場合でも、テレビ・新聞などの他のメディアに比べて、比較的低予算で出稿できます。
自社・求職者の双方向でのコミュニケーションが可能
SNSの各プラットフォームには、コメントやメッセージ機能があります。これらの機能を活用することで、求職者からの質問を募集したり、フィードバックを受け取ることも可能です。
また、求職者からの質問やフィードバックに対して、企業側から回答することも容易です。このようにSNSを活用することで、自社・求職者間双方向のやりとりができるため、求職者と自社の間の距離が近くなるというメリットがあります。
自社・求職者間のミスマッチが防ぎやすい
SNSを活用し、自社の社員との交流の機会を設けたり、職場の風景を詳しく投稿することで、自社に関するリアルな情報を質量ともに、求職者にしっかりと伝えられます。その結果、自社の企業文化がより明確に伝わるでしょう。
また企業側にとっては、求職者がSNSで発信している情報をチェックすることで、求職者が興味を持っていること・価値観などが分かるため、応募書類だけでは分からない「人となり」も理解しやすくなります。
その結果、自社・求職者間でのミスマッチを防ぐことにもつながるという点もメリットです。
SNS採用のデメリット
次に、SNS採用のデメリットを、3点紹介します。
・即効性が期待できない
・企業イメージ低下のリスクがある
・運用のマンパワーが必要
それぞれのデメリットの詳細について、詳しく解説します。
即効性が期待できない
SNS採用は、企業がSNSアカウントを開設してから、フォロワーの増加や信頼関係の構築まで時間がかかります。そのため、短期間に自社の認知度をあげることは難しいのが実情です。
たとえば、企業が複数回SNSに投稿したとしても、すぐに採用募集への応募が増えるといったダイレクトな反応が現れることは少ないでしょう。
また、SNSは求職者に絞った情報発信とは異なり、自社のことを知らない・興味がないといった層や、求職を考えていない層にも広く情報発信をすることになります。したがって、たとえ発信した情報が多くの人の目に留まったとしても、すぐに応募につながるとは限らないわけです。
企業イメージ低下のリスクがある
SNSへの投稿内容によっては、その投稿が炎上してしまうリスクがあります。万が一炎上してしまったときには、企業イメージが低下してしまうということにもなりかねません。
つまり、SNSは情報の拡散力が強いため、悪意ある投稿や誤解を招く投稿をしてしまった場合、その投稿内容が瞬時に広がり、企業のブランド価値が失墜してしまう可能性があります。
運用のマンパワーが必要
SNSの運用は、投稿の作成自体は容易です。しかし、SNS採用を実施するためには、投稿内容の計画・準備やフォロワーとのコミュニケーション、フォロワーからの反応の分析などを、継続的に行っていく必要があります。
そのため、これらSNS採用活動に必要な一連のプロセスを行うにあたっては、相応のマンパワーが必要となるでしょう。そのため、SNS採用担当者の負荷は、思ったよりも高いという点がデメリットといえるでしょう。
主なSNSの種類と採用への活用方法
ここでは、主なSNSプラットフォームごとに、採用活動で活用するためのポイントを紹介します。取りあげるSNSプラットフォームは、以下の5つです。
・LINE
・X(旧Twitter)
・Instagram
・Facebook
・YouTube
それぞれのプラットフォームごとに、採用活動で活用するためのポイントを解説します。
LINE
LINEは、国内で最大級のユーザー数をもつ、SNSプラットフォームです。採用活動におけるメインターゲット層(20~30代)では、ほぼ全員が利用しているといっても過言ではありません。
LINEのメリットは、相手に対して直接的にメッセージが行える点であり、通常のSNSでは埋もれがちになってしまう情報も、認知してもらえる確率が高いところです。
そのため、企業側から発信した情報を、認知してもらいやすいプラットフォームといえるでしょう。
X(旧Twitter)
Xの特徴は、リアルタイム性が高いという点です。また、ハッシュタグ(#採用募集、#エンジニア募集など)を用いることで、このハッシュタグで検索されるため、求人情報を探している層に目が留まるといった利点があります。
また、ユーザーのリアルタイムな関心が反映されやすいSNSであるため、トレンドに乗せた採用活動が可能です。たとえば、トレンド(話題)に上がっているハッシュタグに相乗り投稿することで、短期間に広範囲にわたって求人情報を拡散できることも可能です。
Instagramは、画像や動画などのビジュアル重視のSNSです。そのため、視覚的に情報を伝えることに適しています。また、「ストーリーズ」機能が追加されたことで、リアルタイム性も優れるようになっています。
採用活動での活用方法としては、画像や動画を多用した情報発信を通じて、自社の企業文化や職場の雰囲気を視覚的にアピールするとよいでしょう。
Facebookは、世界的に多くの登録者を持つ、ビジネスに強いSNSプラットフォームです。実名による登録が基本であるため、ユーザーの登録者情報の信憑性が高い点が特徴です。
実名登録制であることから、「年齢」「大学」「会社」といった情報を登録しているユーザーが多く、広告ターゲティングの精度が非常に高いSNSプラットフォームです。
そのため、自社で必要とする人材像に当てはまる求職者を、比較的容易に絞り込むことができるため、効率的に採用活動ができます。
YouTube
YouTubeは、動画再生プラットフォームとして、世界中で圧倒的な地位を築いています。
ビジュアルと音声による強力なメッセージ伝達が可能であるため、自社の魅力を効果的にブランディングできるといったメリットがあります。
また、YouTubeは若年層を含むさまざまな年代において、利用率が高いことから広範なフォロワーに対してリーチしやすいといった点もメリットといえます。

SNS採用導入にあたっての手順
次に、SNS採用を導入するにあたっての手順を紹介します。それは以下の5つの手順です。
・採用ターゲット・ペルソナを明確にする
・どのSNSを活用するか決める
・SNS採用の効果を計る指標を決める
・コンテンツ方針を決める
・定期的に効果測定を行う
これら5つの手順について、さらに詳しくみていきましょう。
採用ターゲット・ペルソナを明確にする
ペルソナとは、ターゲットよりも具体的な、自社が求めている人物像を指します。たとえば、年齢・性別・家族構成・仕事に対する価値観・抱えている悩みなどを詳しく設定します。
このように、事前にペルソナを明確に設計しておくと、コンテンツの投稿内容が決めやすくなります。また、ペルソナに合わせた投稿をすることで、自社が求める人材に情報が届き、SNS採用の成功につながります。
自社の企業風土や価値観と一致する人物像をペルソナに設定することで、ミスマッチが防げ長期的な雇用関係構築に寄与するといった利点もあります。
どのSNSを活用するか決める
ペルソナが決定した後に、実際に採用活動で活用するSNSプラットフォームを決めます。SNSはプラットフォームによって利用者の属性が異なります。
そのため、採用のターゲットとする層の利用が多いプラットフォームを選ぶことが重要です。たとえば、Instagramは10代後半〜30代のユーザーが多く、Facebookは30〜50代のユーザーが多いという特徴があります。
また、SNSプラットフォームによって、利用者層が異なることから受け入れられる投稿内容も変わります。そのため、初めてSNS採用を導入する際は、1~2つのSNSに絞って導入することをおすすめします。
SNS採用の効果を計る指標を決める
SNS採用を成功させるためには、KPI(目標達成の過程を測る指標)の設定が重要です。KPIの具体的な指標としては、フォロワー数やリーチ数など、効果を具体的に測れるものを選ぶとよいでしょう。
評価方法を具体的に設定できるため、目標の達成度合いがわかりやすくなり、他部署との共有時にも役立ちます。
KPIは、目的や利用範囲に照らしてどれを測定するのが良いか考えましょう。たとえば母集団形成を目的とするのであれば「リーチとエンゲージメント」、「応募者数と採用者数」をKPIに採用することは必須といえます。
コンテンツ方針を決める
ターゲットとなる求職者に対して、魅力的かつ一貫性のあるコンテンツを発信していくことが、重要となります。
具体的には、以下の4点はコンテンツ方針の中で決めておきましょう。
・何を発信するのか(企業文化や価値観、従業員の声、オフィス風景など)
・どんな素材で発信するのか:テキスト、写真、動画。文章・デザインのトーン&マナーも揃える
・一貫性を保つために誰が発信するのか:採用担当者、広報担当者、経営者、一般社員など
・どんな印象で発信するのか:真面目、誠実、カジュアル、面白く、など
定期的に効果測定を行う
事前に設定した評価指標(KPI)をもとに、SNSにコンテンツを投稿したことによる成果を分析するとともに、課題があれば必要に応じて改善していくことが重要です。
分析時のポイントは、現在の戦略のどの部分が成功しているか、または改善が必要な部分はどこかを特定することです。
改善が必要になったときには、仮説を立てて検証を繰り返し、自社にとっても運用しやすく、求めていた効果にも繋がる最適解を見つけ出すことが大切です。
SNS採用成功のポイント
採用コンセプトの明確化
採用コンセプトとは、自社のミッション、ビジョン、バリューは何なのか、他社と比べて何が自社の強み・魅力なのか、それを言語化したものです。
SNS採用で情報発信していく個々の投稿は、すべてが採用コンセプトに基づいたものでなくてはなりません。採用コンセプトが大元にあることで、一貫性を持って自社の魅力を伝えていくことができるためです。
会社全体の協力を得られるようにする
SNS採用で投稿するコンテンツを作成するにあたって、社員の生の声を求職者に届けることは不可欠といえます。そうなれば経営者、マネジャー、社員にインタビューに協力してもらう必要があります。
また、会社の雰囲気を伝える動画を制作するならば、これらの経営者・社員に撮影に協力してもらう必要がありますし、社員本人の名義でSNSの投稿をしてもらうこともありえます。
そのため、会社全体の協力が得られるように、根回しなどはしっかりとやっておきましょう。
SNSを活用して自社の採用活動を行おう!
今回は、SNS採用のメリット・デメリット、SNS採用を導入するための手順、採用を成功させるためのポイントを中心に紹介しました。
SNS採用は、自社が求める人物像を採用するにあたって有効な方法といえます。本記事を参考に、ぜひSNS採用を行ってみてはいかがでしょうか。
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本記事では、SNSを活用した採用活動を行うにあたって、メリット・デメリットや導入手順などを紹介してきました。
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