
自社の広告宣伝活動の一環として、SNS運用に取り組んでいる企業が増えています。顧客とダイレクトに接点を持てる、運用コストが低いといった点が、取り組む企業が増えている理由です。
そのため、自社でもSNS運用に取り組もうと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、具体的に何から手を付ければよいかお悩みの方も少なくないでしょう。
本記事では、SNS運用を行うための8つの作業、メリット・デメリット、SNS運用を成功させるためのコツを紹介します。
SNS運用を検討されている方には、役立つ情報であるため、ぜひ最後まで読み進めてください。

SNS運用とは
SNS運用という言葉は、耳にされたことがあると思いますが、言葉の定義をしっかりと把握されていない方もいるでしょう。
SNS運用とは、「企業がSNSのプラットフォームを活用し、自社のブランドやサービスの認知度向上を図るとともに、顧客とのコミュニケーションの強化を図る取り組み」を指します。
有名なSNSプラットフォームとしては、「Instagram」「X(旧Twitter)」「Facebook」などが挙げられます。
SNS運用を行うことの重要性
企業がSNS運用を活用して、広告宣伝効果を狙う理由としては、以下の3点があります。
・SNS利用率が8割を超えている
・SNSを検索ツールとして使う人が増えている
・SNSは細かい条件で広告配信先をターゲティングできる
国内のほぼ全世代に、スマートフォンが普及することに伴い、SNSの利用率は8割を超えている状況にあります。全国民の多くが、何らかのSNSを活用する時代となっているわけです。
従来は、飲食店を探すときなどは、Google検索を活用している方が多かったですが、SNSで検索するといった方が増えつつあります。
また、SNSは利用者の属性情報(年齢・性別など)を持ってます。そのため、自社の製品・サービスを訴求したい層にピンポイントで広告配信が可能です。効率的に広告宣伝ができるという点も、SNS運用を活用する動きが加速化している要因の一つです。
SNSマーケティングとの違い
SNS運用と類似した言葉として、「SNSマーケティング」という言葉を耳にされた方もいるでしょう。
SNS運用と、SNSマーケティングの定義は明確に違います。SNSマーケティングとはSNSを活用したマーケティング全体を指し、SNS運用はSNSマーケティングの手法の一つを指しています。
つまり、「SNS運用はSNSマーケティングの中の一つの手法」というわけです。
SNS広告運用との違い
また、SNS運用と近しい言葉として、「SNS広告運用」があります。SNS運用・SNS広告運用とも、SNSマーケティングの中の手法の一つです。
SNS運用とSNS広告運用の違いは、公式アカウントで情報発信されるコンテンツの投稿頻度にあります。SNS運用は、自社の公式アカウントから日々コンテンツを投稿する必要があります。一方、SNS広告運用では公式アカウントからのコンテンツ投稿は必須ではありません。
運用のやり方によっても変わりますが、一般的には中長期で広告宣伝効果を上げる際には「SNS運用」を活用します。短期で広告宣伝成果を上げるときには、「SNS広告運用」を活用するといわれています。
SNS運用を行うための8ステップ
次に、SNS運用を行なうために必要となる8つの作業を解説します。それは、以下の作業です。
・SNS運用を行う目的を定める
・SNS発信先のターゲットを決める
・SNS運用を行う媒体を決める
・コンセプト・トンマナを決める
・SNS運用チームを決める
・SNS運用ルールを決める
・コンテンツを投稿する
・効果測定をしながらPDCAを回す
それぞれの作業内容について、詳しくみていきましょう。
SNS運用を行う目的を定める
最初に決めるべきことは、SNS運用を行う目的の決定です。運用目的によって、運用方法が変わってきてしまうためです。
具体的には、「なにを実現するためにSNS運用をするのか」という点を明確にすることが重要です。
たとえば、自社の認知度拡大・ブランドイメージの醸成・新商品の情報発信・ECサイトへの導入(コンバージョン)といったことが目的に当たります。
SNS発信先のターゲットを決める
SNS運用の目的が決定した後に、SNS発信先のターゲットを決めます。
前述したように、SNS運用ではある特定の層にピンポイントで広告が打てます。そのため、SNS運用元の企業は顧客ターゲットを明確化する必要があります。
SNS運用におけるターゲティングは、かなり詳細に実施可能です。たとえば、年齢・性別・趣味嗜好・興味関心・居住地・勤務地といった情報によって、ターゲティングができます。
SNS運用では、SNSコンテンツ(配信コンテンツ)で、視聴者の関心・興味を引くことで、顧客になってもらいます。より確度の高い顧客を得るためには、ターゲットにした層のニーズを徹底的に把握し、ニーズにミートしたコンテンツを提供しなければなりません。
なお、ターゲットの設定とニーズの把握は同時に行う方が、効率的でしょう。
SNS運用を行う媒体を決める
SNSにはさまざまなプラットフォームがあり、それぞれのプラットフォームごとに、ユーザー属性や特徴が異なります。
そのため、SNS運用の目的・ターゲット層を分析し、これらのターゲットにもっとも多く利用されている媒体を採用する方が、広告宣伝効果も高くなります。
なお、SNSごとの特徴は、下表を参照ください。
SNS名 | 特徴 |
20~30代の若年層の利用者が多く、ファッションや飲食業に適しており、画像がメインコンテンツであることからビジュアル重視。 | |
X(旧Twitter) | 即時性が高く、情報の拡散スピードが速い。情報発信や話題性重視。 |
30~50代のビジネスパーソンが主なユーザー。そのため、企業内の決裁権を持つ方も多い。 | |
TikTok | 10~20代を中心に人気で、ショート動画コンテンツでバズらせることができる。 |
Linkedln | BtoB向けの情報発信に強く、特に業界専門の発信に効果的。 |
コンセプト・トンマナを決める
SNS運用の目的・ターゲット層・媒体が決定した後に、コンセプト・トンマナを決めていきます。
コンセプトは商品やサービス内容といった、企業から顧客に提供したい価値を言語化したものです。商品やサービスを開発する上での指針となる概念でもあります。
トンマナという言葉は、聞きなれない方もいるかと思いますが、「トーン&マナー」の略称を指します。コンテンツのデザイン(=トーン)やコンテンツの形式(=マナー)を組み合わせた言葉です。つまり、コンテンツのデザインや様式などに一貫性を持たせるためのルールです。
SNSで発信するときに、投稿フォーマットや画像スタイルなどを視覚的に統一することは、宣伝効果を上げるために重要な要素となります。ユーザーは、繰り返し統一感のある発信に触れることで、少しずつ企業や製品のイメージを固めていきます。
発信のトンマナがバラバラだと、なかなかブランドイメージが定まらず、自分にとって必要な情報なのかそうでないかが判断しづらいといった問題が起きます。
そのため、コンセプト・トンマナを決めることは、広告宣伝効果を発揮するために、重要とされています。
SNS運用チームを決める
SNS運用の基本的な考え方(目的・ターゲット・媒体・コンセプト・トンマナ)が決まると、次にSNS運用を行うための人材の確保(チーム作り)を行います。
SNS運用チームを決めるにあたってのポイントは、以下の4点です。
・チームとして成果を出せる環境を構築すること
・SNSの利用経験が多少なりともあり、SNSに対して関心がある人材をアサインすること
・コンテンツの投稿や、ユーザーからのコメントへの返信がスムーズに行えるよう、社内稟議や承認のプロセスを簡略化すること
・社内にSNS運用に関して詳しい人材がいないときには、外部のコンサルを活用する
SNS運用ルールを決める
SNS運用チームメンバーの選抜が完了したら、SNS運用ルールを決めます。SNS運用ルールを明確にしないまま運用を開始すると、運用担当者が業務時間外でもSNSのチェックを行い疲弊してしまったり、コンテンツのクオリティがばらついてしまったりする恐れがあります。
さらに、運用ルールが明確でない場合には、SNS運用担当者が発信したコンテンツが、モラルに欠け炎上を招くといったリスクがあります。また、炎上後の事後対応が不十分となり、事態をますます悪化させてしまうリスクも生じます。
SNS運用ルールで決めておくべき項目には、以下の4点が挙げられます。
・投稿頻度(例:曜日・時間を固定化するか否か)
・投稿内容(例:商品案内中心か、個人のつぶやきも行うか)
・炎上が発生した場合の対応方法
・コメントやダイレクトメッセージへの対応(例:個別返信を行うのか否か)
これらの運用ルールを事前に決めておくことで、スムーズなSNS運用が実現できます。
コンテンツを投稿する
ここまでで、コンテンツを投稿するための事前作業が完了し、早速コンテンツを投稿していくことになります。コンテンツの投稿にあたっては、以下の2点について留意しましょう。
・商品やサービス内容を一方的に伝えるだけとはしないこと
(多くの人は一方的に売り込まれることを好まない傾向にある)
・顧客が共感するようなコンテンツを投稿すること
(SNSの特徴には「拡散力が高い」という点があります。人に拡散したくなるには、コンテンツ内容に対して「共感」をしたときが多いため)
自社の製品・サービスのブランドイメージと合わないコンテンツの投稿が頻発してしまうと、顧客が困惑したりブランド価値を下げてしまったりする懸念もあります。こういった内容を投稿しないことも、ポイントの一つです。
効果測定をしながらPDCAを回す
SNS運用を行うにあたっては、運用の効果測定を行い改善のためのPDCAを回すことが重要です。効果測定の判断に適したKPIは、以下のとおりです。
・企業認知度の向上が目的の場合:インプレッション数
・製品の購入が目的の場合:コンバージョン数
効果測定項目が決定したら、定期計測の期間(例:週次・月次・四半期ごとなど)を定めていきましょう。定期的にSNS運用の効果測定を行うことで、目標達成に向けての課題を明確にし、改善策の検討・実行を進めていきましょう。
SNS運用のメリット・デメリット
次に、SNS運用のメリット・デメリットを解説します。
メリット
SNS運用を行うことによって得られるメリットは、以下の3点です。
・顧客コミュニケーションの強化
・初期コスト・運用コストが低い
・ブランドイメージ・認知度の向上
それぞれのメリットについて、さらに詳しく解説します。
顧客コミュニケーションの強化
SNSは従来までのマスメディアとは異なり、企業・顧客間で双方向に情報発信できる点が
特徴です。そのため、顧客との距離感が非常に近いメディアといえます。
また、TVや新聞といったメディアとは異なり、顧客の意見や反応などのフィードバックを受けることによって、コンテンツの発信内容をブラッシュアップできるメリットがあります。
さらに、SNSを通じて顧客との関係性を深め、既存顧客・潜在顧客双方にアプローチしながら、さらに自社製品やサービスのファン層が獲得できるといった点も、企業にとっては大きなメリットとなるでしょう。
初期コスト・運用コストが低い
TVのスポット広告・新聞広告などのメディアを活用して広告宣伝をするよりも、SNS運用によるコンテンツ投稿の方が、初期コスト・運用コストの双方で低コストです。
ブランドイメージ・認知度の向上
従来の顧客との接点は、TV・新聞・ラジオ・雑誌・書籍のマスメディアが主流でした。 SNSが普及したことで、企業と顧客との接点が一気に増えました。
そのため、より低コストで企業が自由に情報発信できるため、製品やサービスを利用した顧客からの満足度・感想が積極的に共有されるようになりました。一方、顧客からの不満や意見に対して、企業が迅速・誠実に対応することで、顧客からの信頼性を高めることも実現できるようになりました。
このように、企業側がSNS運用に取り組むことで、ブランドイメージ・認知度が向上しやすくなっています。

デメリット
SNS運用をすることでメリットはあるものの、逆にデメリットとなる点もあります。主なデメリットは、以下の3点です。
・炎上の可能性がある
・短期的には広告宣伝効果が出にくい
・運用には手間がかかる
それぞれのデメリットについて、詳しく紹介します。
炎上の可能性がある
企業から発信されたコンテンツは、不特定多数のさまざまな背景を持った人に見れるようになります。そのため、企業が想定していなかったターゲット層にもアプローチをしてしまうため、普段の広報活動よりも細心の注意を持って発信をしないと、炎上してしまうリスクがあります。
また、ブランドイメージとかけ離れたコンテンツを発信する行為にも注意が必要です。万が一不適切な投稿をしてしまった場合、SNSの拡散力によって炎上してしまい、企業側が受ける悪影響は計り知れないものになる可能性があります。
短期的には効果が出にくい
SNS運用を行うにあたっては、長期的な戦略の策定が重要です。SNS運用の特徴として、短期での広告宣伝効果が出にくいためです。一度コンテンツを発信しただけでは、自社が求める効果を得ることは難しいといえます。
運用には手間がかかる
SNS運用の作業は、やるべきことが多いためかなりの業務量が必要となります。投稿頻度やSNS運用の目的によって異なりますが、多くのケースで運用に手間がかかります。
そのため、SNS運用担当者の業務負荷が高くなり、ストレスの増加など心身の変調をきたすリスクもあるため、注意が必要です。
SNS運用を成功させるためのコツ
SNS運用のために行うべき作業、メリット・デメリットを紹介してきましたが、次にSNS運用を成功させるためのコツを紹介します。それは、以下の4点です。
・ユーザーニーズを満たすコンテンツを準備する
・コンテンツ数を増やす
・分かりやすく簡潔に情報を刷新する
・他社の企業アカウントとつながる
それぞれの成功するためのコツを、詳しく解説します。
ユーザーニーズを満たすコンテンツを準備する
SNS運用では、顧客ニーズを踏まえたコンテンツの投稿が重要です。訴求したいターゲット層がどのような悩みを抱えており何を求めているかを想像し、ニーズにピンポイントで応えられるコンテンツを投稿すると、共感が増えます。
共感が得られた投稿は、顧客間で拡散される可能性が高く、企業が発信したコンテンツの「いいね」の数や、記事への流入数・フォロワーの数が飛躍的に伸びる可能性があります。
コンテンツ数を増やす
SNS運用に本格的に取り組むのであれば毎日、少なくとも週に一度は必ず投稿した方が広告宣伝効果が得られやすいです。
そのため、コンテンツ数を増やすことが重要となります。しかし、同じようなコンテンツばかりを投稿していても、ユーザーには飽きられてしまい離脱される可能性が高くなります。よって、さまざまなバリエーションのコンテンツを増やしていくとよいでしょう。
また、コンテンツのクオリティが低くなってしまうと、効果が得づらくなるため、クオリティにも注意を払いましょう。
分かりやすく簡潔に情報を刷新する
SNSの投稿でユーザーに刺さるコンテンツは、分かりやすく簡潔であることです。
文章が冗長であったり、端的な内容になっていない場合は、読者にとって見ずらいため、離脱される可能性が高くなります。
そのため、分かりやすく簡潔なコンテンツを用意することが、重要です。
他社の企業アカウントとつながる
企業同士が、お互いのSNS公式アカウントをフォローして投稿をすると、以下の3つのメリットがあります。
・アカウントの信頼性が高まる
・フォロワー数の増加につなげられる
・コラボレーションが期待できる
このように、他社の公式アカウントとつながることによって、得られるメリットが多くあります。
初めてSNS運用を活用しようとされる方はクラプロへご相談ください
本記事では、SNS運用を行うにあたり、やらなければならない8つの作業、メリット・デメリット・成功させるためのコツを紹介してきました。
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